1.なんとなく気持ちが重い「なんか違う」と感じたとき

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1.なんとなく気持ちが重い「なんか違う」と感じたとき

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2026/08/25 1.なんとなく気持ちが重い「なんか違う」と感じたとき

生きることがへたなあなたへ贈る言葉
第1章 悩むということ
第1節 なんとなく気持ちが重い
    「なんか違う」と感じたとき
 
『話す』ことは『離す』こと
 悩みというものは、いつもそんなにはっきりとしてやっ
てくるものとは限りません。なぜだかよくわからないけれ
ど、どうもしっくりこない状態が続いている。そのうちに、
いろいろなものが団子状態になってしまい、にっちもさっ
ちも行かなくなる。こんなときというのは、あっちもこっ
ちもうまくいかなくなり、すべてを投げ出したくなる。そ
して、ただなんとなく気持ちが重くなり、何かに取り掛か
ろうとするエネルギーがなくなってしまいます。
 
 そう「ただなんとなく・・」なのです。「このことにつ
いて、こう悩んでいる」とはっきりしていれば、具体的に
動けるのですが、身体がだるかったり、何もせずボーッと
していたかったり、とにかく、どうもやる気がおきてこな
いという感じではないでしょうか。このように悩むときと
いうのは、いやな感じはあるものの、それがどこから出て
いるものなのかわからないことが多いものです。
 
 そんなことはない。「わたしは職場での人間関係で悩ん
でいる」とか、「家族のことで・・」とか「学校に行って
いても友達ができない」など、悩みの原因はわかっている
と思われるかもしれません。けれど、この段階では「どう
もうまくいかなくて、とてもつらい」あるいは「○○さんと
いるとなんだかとても疲れる」という感じはあるものの、
自分は何をどうしたいか、どうしたらこの重たい感じから
楽になれるかが、はっきり見えていないのではないのでし
ょうか。
 
 まるで真っ暗なトンネルの中に、ひとりポツリと立って
いるようで、出口がどこにあるのか、どちらのほうに歩い
ていったら薄明かりが差し込んでくるのかが分からない。
そこで一歩を踏み出す元気もなく、ただそこにうずくまっ
てしまいたい気持ちになっているのです。
 
 さて、ではこのような状態から早く脱出するためにはど
うすれば良いのでしょうか。それには、いまは見えていな
い、自分は何をどう悩んでいるのか、何をどうしたいのか、
どうなればこの悩みから開放されるのかを見つけることが
第一のように思えます。そして、手をとって一緒に歩いて
くれる人がいたら、どんなにかその心細さが減るのではな
いかと、想像できます。そこで、ひとりで考え込まずに誰
かに話してみることが、悩みからの脱出に大いに役立つの
です。
 
相談をするということ
 話しているうちに、なにやら重く肩にのしかかっていた
もの、あるいは胃のあたりにつかえていた物が、すっと身
体から離れていくことがあります。その『気になっている
何か』を、少し距離を持って眺めることができるようにな
ると、ぼんやりとではあっても、そのものの全体像が見え
てきます。自分の悩みを客観的に見ることができるように
なるのです。とにかく、誰かに話してみましょう。そう。
『話すこと』によって、身体に取り付いていた悩みを『離
すこと』ができるようになるのです。
 
 誰かに話しながら「ウン!その通り」「イヤ、そういう
ことではないんだよ」などと答えているうちに、なんとな
く自分の気持ちが整理できて、「ここがこうなればいいの
にな」とか「そう、私はこうしたかったんだ」といった感
情が湧いてきます。そこで、自分はどちらの方向に向かっ
て進んで行きたいのかが見えてくる。つまり、解決方法を
見つけるための一歩を踏み出した、ということになるわけ
です。ここで注目したいことは、自分のなかに隠れていた
気持ちが、話すことによって浮き上がってくるというとこ
ろにあります。
 
 そう、隠れていたものが、浮き上がってくるのです。人
に相談をするということは、そこから抜け出すためのアド
バイスをもらうためと思われるかもしれませんが、実は人
に話を聞いてもらう本来の目的は、そこではないのです。
 
 あなたが人生の大先輩に意見を聞いたとして、あるいは、
あなたをよく知っている親戚の方がアドバイスをくれたと
して、果たしてあなたは、言われたことをそのまま実行す
るでしょうか。「なるほど!」と思えばきっと試してみる
でしょうが、それは、言われたことにより「そうそう、そ
うしたかったんだ」という気持ちが湧いてきたからではな
いでしょうか。もし「そうは言っても」とか「う~ん・・」
という感じが残ったときというのは、きっとありがたいア
ドバイスだったとしても、その通りにするかどうか、迷っ
てしまうかもしれません。
 
 よく『ストンと落ちる』という表現をすることがありま
すが、それは自分の中にもやもやとあったものが、霧が晴
れたようにはっきり姿を現したときです。「わたしのここ
ろを重くしていたものは、このことのここの部分で、そこ
がこうなればよい」と見えてきたときです。つまり、もと
もと自分こころの中にあったものに触れたから、ストンと
落ちたのです。人は自分の気持ちを整理し、自分の出した
かった解決策を確かめるために、人に相談をするのです。
 
対話をするということ
 さて、アドバイスをもらうためではないとすると、いっ
たいどういう人に相談をしたらよいのでしょうか。また、
誰かに話を聞いてもらいたいけれど、誰も相談をする人が
いないというときにはどうしたらよいでしよう。
 
 カウンセリングの対話の技法の中に『繰り返し』という
ものがあります。これはクライエントさんが語ったことを、
そのままオウム返しのように語り返すものです。そんなこ
とで聞いてもらった感じになれるのかと思われるかもしれ
ませんが、ご夫婦や親子で、どうもすぐ喧嘩になってしま
い、なんとかしたいと思っていらっしゃる方には、試しに
やってみることをお勧めいたします。ただし「あなたの言
いたいことは、こういうことなのですか」と確認の意味で、
こころをこめてお返しするのです。
 
 カウンセリングをするとき、わたしは、クライエントさ
んが自問自答できるようになることを目標にしています。
カウンセラーとのやり取りを、徐々に、自分の中にいるも
うひとりの自分とのやり取りへと移行していければ、自分
で気持ちを整理し、隠れていた自分の気持ちに気づくこと
ができるようになります。
 
 道端の石ころや、夜空の星に語りかけているうちに、答
えが返ってきたという体験はありませんか。それは、自分
のこころを不自由にしていた、意地や欲、あるいは、こう
あるべきだとか、こうあらねばならないといった様々なし
がらみを、一瞬忘れたとき、自分のこころが叫びだす瞬間
です。押し殺していた感情があふれ出る瞬間なのです。
 
 よく『聞き上手』と言われる人は、決して自分の考えを
述べずに、しっかりこちらの目を見て、ただていねいにう
なずいています。こちらのこころの中に存在するあらゆる
気持ちを、評価せずに認めています。そこで、お話をする
人は評価を気にせずに、いろいろある思いを語ることがで
き、その中にある自分が一番納得のいくところに、たどり
着くことができるのです。

 
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